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2008'03.28 (Fri)

潜水服は蝶の夢を見る

職場が変わって、色んなジャンルの本に触れる機会が増え、
エッセイやノンフィクション、入門書や雑学本も読みたい、と
思うようになったのですが、どうもペースダウン気味です…。

ファッション雑誌『ELLE』の編集長ジャン=ドミニック・ボービーは、脳卒中後、
宝くじをあてるような確率で、『ロックイン・シンドローム』という状態に陥りました。
『ロックイン・シンドローム』とは彼の言葉をかりて説明するなら
「頭のてっぺんからつま先まで、全身が麻痺。けれど、意識や知能はまったく元のまま。」
これはまるで、スティーブン・キングの「第四解剖室」のようですね。
(まぁ、ハワード氏は、毒蛇に噛まれただけでしたけど。)
そういえば乙一の作品にも、おそらく『ロックイン・シンドローム』であろう
青年が出てきましたっけ。
この、意識がはっきりしているのに体が動かない状態を
「まるで自分という人間の内側に閉じ込められてしまったようだ」
とジャンは表現しています。

また彼は、麻痺した体を「潜水服」、ひらひらと舞い上がる彼の心を「蝶」とも言っています。
そして、その自由に舞う蝶を、まとめたのがこの本。
彼は、左目の瞬きだけでこの手記を書き上げたのです。
なんと瞬きした回数、20万回。

手記の内容は、昏睡状態から目が覚めたときのこと、
病院のお気に入りの場所や入院患者について、
楽しかった過去の思い出や、大切な家族、病院スタッフについてなどなど、
多岐にわたります。
驚かされるのは、気落ちしている様子はうかがえるものの、
決して感傷的にはならない冷静さ、
時にはセンスのいい皮肉を飛ばし、詩を読みあげる、
彼のこの、精神力の強さ。
文章は何時間もかけて推敲されたのが、洗練されており、
すっと、読者の心の中に入り込んできます。

どうも、私にとっては人事じゃない話ばかりでして、
忘れられない一冊になりました。
映画になったのが、本を手に取ったきっかけだったんですが、
きっと、映画を見たら、ウサギさんどころじゃすまないでしょう。

潜水服は蝶の夢を見る潜水服は蝶の夢を見る
(1998/03/05)
ジャン=ドミニック ボービー

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 | 2008年05月01日(木) 23:38 |  | コメント編集

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